お客様の声

「四方良し」の絆が、図面を超えた「作品」を生む

エピソード15

「四方良し」の絆が、図面を超えた「作品」を生む
―木暮板金工業が体現する、職人の「良い加減」とビルトマテリアルの現場成形力―

ゲスト有限会社 木暮板金工業
代表取締役 木暮 勝利 氏
住所:群馬県高崎市高浜町620-1
聞き手ビルトマテリアル株式会社
群馬営業所
木村 直人

群馬県高崎市。上州名物の空っ風が吹き荒れるこの地に、板金業界で一目置かれる一軒の工事店がある。創業70年を数える「有限会社 木暮板金工業」だ。

同社の主戦場は、大型倉庫や工場、店舗といったいわゆる「野丁場」。住宅とは比較にならないスケールの大きさと、ミリ単位の精度が求められる現場だ。木暮板金工業の最大の特徴は、単なる施工店に留まらない「製作能力」にある。自社工場には6メートルの長尺ベンダーを備え、メーカーの既製品では到底収まらない特注の役物や、現場の不陸を吸収するための特殊加工を自前で行っている。

「あの図面、木暮さんとこなら納めてくれるよ」。元請けのゼネコンや設計事務所からそう頼られる、いわば板金業界の「最後の砦」である。その舵取りを担うのが、2代目・木暮勝利社長だ。今回は、BMC群馬営業所の木村が、木暮社長の仕事哲学と、板金職人としての誇りに迫った。

目次

「四方良し」で回す現場:高所恐怖症から這い上がった40年

創業70年、本当におめでとうございます。高崎の地でこれほど長く愛される秘訣はどこにあるのでしょうか。社長がこの道に入られた当時のことからお聞かせください。

ありがとうございます。私がこの世界に入ったのは25歳の時でした。それまでは家業の旅館経営に携わっていたものですから、まさに畑違い。しかも情けないことに、最初はひどい「高所恐怖症」だったんですよ(笑)。屋根の上に上がると足がすくんでしまいましてね、最初は仕事どころではありませんでした。

ですが、結婚して守るべき家族ができました。「家族を食わせていくんだ」という一心。男には、やらなきゃいけない時がありますよね。必死に屋根に食らいついて、恐怖を克服するのに3年はかかりました。それから気が付けば40年。板金を叩き、少しずつ自分にプレッシャーをかけながら、できる仕事の幅を広げてきた毎日でした。

社長とお話ししていると、強烈な毒舌ですが(笑)、周囲にはいつも笑いが絶えません。仕事において最も大切にされている信条は何でしょうか。

私はね、「4方向良し」が大切だと考えているんです。お施主様(顧客)、仕入先様、自社、そして現場を支える職人さん。この四方が納得し、全員が良くなって初めて、その仕事は成功だと言えるのではないでしょうか。

商売ですから、お金を儲けることは大切です。しかし、自分だけが儲かれば良いという考えは、どこかに歪みを生みます。その歪みは、いつか必ず現場の「手抜き」や「不備」となって現れます。特にお金では買えない「人との繋がり」こそが商売の根幹ですからね。

季節の良い時期には、元請けの現場監督さんや職人さん、仕入先の皆さんを家族連れで招待して、盛大なバーベキュー大会を開きます。そこで笑い合い、お互いの顔を知る。そうすると、現場で何かトラブルがあった時でも「木暮さんとこのためなら一肌脱ごう」と思ってもらえる。逆に私も「あの監督さんの現場なら、もう一工夫してやろう」と思える。この「人情」こそが、野丁場の厳しい現場を動かす潤滑油になるんですよ。


BMCの現場成形の「段取りの美学」という社員教育

弊社のハゼⅡ型や長尺屋根の「現場成形」を長らくご用命いただいています。同業他社さんも多い中で、なぜ弊社を選んでいただけるのでしょうか。

ズバリ申し上げまして、BMCさんの現場成型におけるオペレーション力は、我々職人から見ても「対応力」が違います。特に行田TECの大川工場長や小川さんの仕事ぶりは、日本一だと思っていますよ!

現場成形というのは、ただ機械を持ってきて屋根を流せば良いというものではありません。成形機を据える場所の「レベル出し」ひとつで、製品の精度がガラリと変わる。非常にシビアな世界です。彼らは現場に入る前のシミュレーションが完璧なんです。レッカーをどこに配置し、材料をどこに下ろし、どの順番で屋根を流せば、最短で、かつ美しく納まるか。その「段取り」に一切の無駄がありません。設置から屋根が流れるまで20~30分で出来る会社なんて、見たことありません。BMCの現場成形スタッフの皆さんは、それほどのスキルを持っているという事なんです!

現場の職人さんからも、弊社のスタッフへの信頼を感じます。

彼らは単に「機械を回しに来るオペレーター」ではないんですよ。まるで自分の「作品」を作るかのような情熱を持って現場に入ってくれる。現場監督さんへの事前根回しから、予期せぬトラブルへの即応力まで、板金屋の気持ちを汲み取って動いてくれる。これほど頼もしい相棒はいません。「ヒトこそ、会社の財産である」ということを、BMCさんのスタッフを見ていると改めて実感しますね。そこには、群馬営業所の木村さんや全員も含まれています。皆さんが完璧な素材を用意してくれるからこそ、我々も安心して難しい現場に挑めるんです。


「運寸尺」を読み、「良い加減」に納める職人の真髄

社長がよくお話しされる「良い加減(良い塩梅)」という言葉。これこそが、板金職人の技術の核心だと感じます。

ええ。板金の仕事には「運寸尺(うんすんじゃく)を見る」という言葉があります。これは図面通りの数値だけでなく、現場の状況に合わせて「逃げ」や「余尺」を測る、職人の勘のことです。

例えば、50ミリ角の鉄骨にピタッとはめ込む「コの字型」の役物を作るとしましょう。今の時代、コンピューターで計算すれば正確に50ミリで折ることは簡単です。ですが、それを現場に持っていっても絶対に入りません。鉄骨には微妙な捻れや塗装の厚みがありますからね。

かと言って、55ミリで作ればガタが出て、雨仕舞いも悪くなる。51ミリなのか、50.5ミリなのか。きつすぎず、緩すぎず、吸い付くようにピタッとはまるサイズを見極める。これが職人のさじ加減です。私たち職人は、これを「良い加減(良い塩梅)」と呼んでいます。

現場ごとに正解が違う、まさにデジタルでは測れない領域ですね。

その通りです。世の中のすべてがデジタルで「0か1か」で決まるわけではありません。建物には一つひとつ「癖」があります。その癖を読み取って、どこまで気を遣えるか。

我々板金屋の仕事は、建物を雨風から守る最後の手仕事です。既製品を並べるだけなら誰でもできますが、複雑な形状の建物において「良い加減」で納めるには、経験に裏打ちされた勘が必要です。最後に行き着くのは、やはり「人間力」なんですよ。BMCさんの高精度な製品があるからこそ、我々のこうした「ひと手間」が輝き、10年、20年と持つ屋根になるんです。


文化の多様化が、職人の腕を底上げする

最後に、これからの板金業界を担う若い世代や、同業の皆様へメッセージをお願いします。

今、建築の世界は大きな転換期にあります。以前のような画一的な四角い建物ばかりではなく、お施主様やオーナー様が「他とは違う、複雑で意匠性の高い建物」を求める時代になりました。これは我々職人にとっては、まさに「板金職人みょうりに尽きる時代」の到来ですよ。

難易度が上がれば上がるほど、我々の存在価値は高まります。だからこそ、私はリスクを恐れずに最新の成形機や設備への投資を続けています。投資をやめて現状維持を選んだ瞬間、技術の進歩は止まってしまいますからね。それは若い職人や、我々を頼ってくださるお客様に対して不誠実だと思うんです。

一つの建物を完成させるのは、お施主様、元請け様、我々下請け、そしてメーカー様や問屋様まで、関わるすべての人が手を取り合った「作品」です。私はよく口が悪いと言われますが(笑)、それも全部、良い作品を作りたいという愛情の裏返しです。

若い連中には、単に「作業」をこなすのではなく、自分が街の景色を作っているんだという誇りを持ってほしい。そして、関わるすべての人を大切にする「人情」を忘れないでほしいですね。デジタル全盛の時代だからこそ、最後は「人と人の繋がり」が勝負を決める。私はそう信じています。


編集後記

木暮社長の取材を通して痛感したのは、板金工事とは「計算」と「感情」の高度な融合であるということです。

6メートルの長尺物をミリ単位で制御する冷静な計算。そして、関わるすべての人を「四方良し」で包み込む温かい感情。この両輪があるからこそ、木暮板金工業は70年という歳月を駆け抜けてこられたのでしょう。

特に「運尺を読み、良い加減に納める」というお話は、効率化やマニュアル化が進む現代の建築業界において、我々メーカーが絶対に忘れてはならない「現場の真理」を突いています。

素材を作るBMCと、それを最高の形で形にする木暮板金工業様。 これからも、木暮社長が仰る「最高の作品」の一部になれるよう、我々BMCも現場第一主義を貫き、最高精度の現場成形と、人情味あふれるサポートを続けていくことをお約束します。

(取材・構成:ビルトマテリアル株式会社 成長戦略室)

 

施工事例(群馬県)

角ハゼⅡ型

角スパン150

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