

お客様の声
| ゲスト | Tec Tec Architects Lab (テク テク アーキテクツ ラボ) 代表取締役・一級建築士 渡辺 俊介 氏(兄) 一級建築士 鎌田 俊喜 氏(弟) 住所:茨城県水戸市千波町1994-25 |
|---|---|
| 聞き手 | ビルトマテリアル株式会社 茨城営業所 所長 高橋 洋樹 |
意匠を追求する兄弟建築家と、メタル素材の可能性を拓くビルトマテリアル(BMC)。その交差で生まれるのは、機能美を超えた「新しい建築の表情」である。設計士とメーカー、それぞれの視点が響き合うプロダクト開発の現場を、ビルトマテリアル・高橋が追った。

(写真:渡辺氏)

(写真:鎌田氏)
本日はお時間をいただきありがとうございます。Tec Tec Architects Lab様の建築には、常に揺るぎない「構造的意志」を感じます。まずは改めて、建築の道へ進まれたきっかけ、社名に込めた思い、大切にされている設計哲学をお聞かせください。
渡辺氏: 私たちが建築を志したのは、幼少期に触れた建築番組の影響が大きいです。兄である私がその世界に強く惹かれ、弟の鎌田も自然と背中を追う形でこの世界に入ってきました。 社名の「テクテクアーキテクツラボ」には、「ゆっくり歩けば倒れない。テクテク行こうぜ」という哲学が込められています。堅実な経営と、技術力(TEC)の研鑽。この二つを両立させ、長く愛される建築を創るという決意です。
鎌田氏: 兄弟でプロジェクトを進める利点は、目指す建築言語を共有できている点にあります。中規模から大規模な物件、工場や倉庫、住宅に至るまで幅広く手掛けていますが、共通しているのは「外観から全体を構築する」という手法と、「お客様の心を射貫く」建築を目指す姿勢です。
渡辺氏: ええ。最初にスケッチで全体構成と外観のボリュームを確定させ、そこから間取りを調整していく。このプロセスこそが我々の建築の骨格です。我々が最も大切にしているのは、「設計で表しきれない余白を、マテリアルで表現する」という考え方です。 同じ建築でも、石が持つ静謐な冷たさや、木が醸す温かみで印象は大きく変わります。それと同じく、スチールが持つ「シャープな緊張感」は、建物の表情を決定づける重要なファクターです。光をどう受けるかまでを含めたマテリアルとの対話が、最終的にお客様の心を射貫く建築になると信じています。

弊社がご提案するハゼ(折返し)の立体的な陰影が美しい「デコジップ」や、910mmコイルを半裁し、4・6・8山を形成したスパンドレル「クロス」。これらをご提案した際、設計者としてどのような可能性を感じられましたか?
渡辺氏: 従来の金属サイディングは、「裏張りの発泡ウレタン断熱材」が設計の自由度を奪うというジレンマがありました。しかし、BMCさんの製品にはそれがない。設計の純度を保てる点に大きな可能性を感じました。
鎌田氏: ですね。「待っていたのはこれだ!」と確信しました。特に「クロス」のような製品は、価格帯が一般的な窯業系サイディングのゾーンに入ってくるというのが素晴らしい。予算が限られたお施主様であっても、高価格帯に位置するメタル素材としての「スチール建材」を外観に取り入れる選択肢が可能となります。デザイン性とコストパフォーマンスの両立—これこそが、我々の設計意図を崩さずにお客様の満足度をアップさせる、「メタル素材」を使う最大の理由ですね。
渡辺氏: 「デコジップ」も同様です。以前は施工難易度や防水性への懸念から外壁への採用を躊躇していましたが、BMCさんの確かな施工実績と体制があれば、安心してエッジの効いた建築を追求できます。工業製品的な均一性を求めるのではなく、光と影が織りなす「波打ち」という表情を、鉄が持つ必然的な美としてデザインに取り入れています。これぞ、我々がメタル素材に求めていた「表現」なのです。

先生方が設計事務所として大切にされているのは、装飾に頼らない「機能美」ですよね。弊社の茨城新事務所でのプロジェクトでも、その思想に強く刺激を受けました。
渡辺氏: ありがとうございます。私たちの設計は、6号国道沿いという立地を活かし、建築物自体が「広告」となるようなシンプルな箱形の組み合わせを重視しています。箱を少しずらすことで動きやリズムを作り、不要な装飾を排したミニマルな造形にする。だからこそ、それを包むマテリアルの納まり一つで、建築の完成度は左右されます。
おっしゃる通りです。先生方の「設計意図をどう現場で実現するか」という妥協なき姿勢は、弊社の開発の大きな指針となっております。実は、窓廻りや出隅といった細部の処理については、先生方の鋭いフィードバックを真摯に受け止めております。現在、建築家が求める美学に応えるべく、機能性とよりシャープなデザイン性を合わせ持つ役物を検討中です。
鎌田氏: 嬉しいですね。窓廻りやコーナーの納まりは、建築家にとって「一番こだわりたい場所」です。ここがミニマルに処理され、素材のラインが連続するようになれば、建物のシャープさは劇的に増す。自分たちの現場での気づきが、メーカーの技術力と結びつき、製品として進化していく。BMCさんは、創業100年を超えた老舗メーカーでありながら、スタートアップ企業のような「Small Start, Quick Action」がある。これこそが、単なるサプライヤーを超えた「建築家との共創」だと思います。
先生方のプロフェッショナルとしてのご要望は、弊社のイノベーションの源泉です。今後もスパンドレルと窯業系サイディングの価格差を埋めるだけでなく、その先の「メタルサイディング」としての新カテゴリーを共に創り上げられたら幸いです。


渡辺氏: 私たちが追求する「設計で表しきれない余白を、マテリアルで表現する」というテーマは、ゴールがあるものではありません。その時々の光、風、そして素材の質感との出会いによって、新しい表情が生まれます。BMCさんのメタル商品があれば、その可能性は無限に広がると感じています。これからも、私たちの理想を形にするため、妥協のない議論を続けていきましょう。
鎌田氏: ええ、ぜひ。建物の外装が街の風景を変えるように、私たちの対話が、これからの建築のスタンダードを変えていけたら面白いですね。
非常に心強いお言葉です。成長戦略室としても、先生方のような建築家と向き合うことで、窯業系サイディングの価格ゾーンで実現するメタル素材という「現実的な最適解」を、さらに研ぎ澄ませていきます。本日は貴重なお話をありがとうございました。
(渡辺氏による当初スケッチ)

(外観イメージパース)

(立面図の抜粋)

今回、Tec Tec Architects Labのお二人が語った「余白を埋めるための素材」という考え方は、単なる建材選定の域を超えた、建築家としての「設計思想」そのものである。窯業系サイディングと同等のコストで、スチールという素材の持つ強さとシャープさを引き出す—。その挑戦は、メーカーであるビルトマテリアルにとって、製品開発における「次なる付加価値」への大きなヒントとなった。
両社の対話は、単なるビジネスの枠組みを超え、建築の未来を共創するパートナーシップへと進化している。設計者が描き、メーカーが形にする。その繰り返しの先には、光と影を纏った、より豊かな街の表情が待っているに違いない。
(取材・構成:ビルトマテリアル株式会社 成長戦略室)
BMC茨城営業所の施工例写真





お問い合わせはこちらから