お客様の声

「現場で『できない』とは言わない」野丁場職人20名を率いる山武板金工業の誇りと、建材メーカーに求める“真の現場対応力”

エピソード21

「現場で『できない』とは言わない」野丁場職人20名を率いる山武板金工業の誇りと、建材メーカーに求める“真の現場対応力”

ゲスト山武板金工業株式会社
代表取締役 鈴木 隆史 氏
主任 飯田 政俊 氏
Web:http://www.sanbubankin.co.jp/
住所:千葉県山武市埴谷1101
聞き手ビルトマテリアル株式会社
東京事務所
加藤 利幸

非住宅案件(野丁場)を中心とし、関東全域の現場を駆け巡る山武板金工業株式会社。創業55年の歴史を誇る同社は、ゼネコン各社からの信頼も厚く、大型店舗や倉庫、公共施設、介護施設といった多様な躯体の屋根・外壁・雨樋工事を一括施工で請け負っています。
現在の建築板金業界において、自社で20名もの職人を抱え、さらに4tユニック車や高所作業車、ベンダー、自社ラフタークレーン(レッカー車)まで揃えて揚重作業まで自社完結できる野丁場施工店は、全国的にも極めて稀有な存在です。
どれほど難易度の高い改修現場や納まりであっても、「長年お世話になっている元請けさんやお客様からの依頼なら、なんとかしてお応えする」と語る鈴木社長。同業者からも「手際が早くて仕事が切れない、お手本のような施工店」と目されていますが、お二人の口から出るのは、どこまでも愚直で謙虚な言葉ばかりでした。
今回、山武板金の鈴木社長、飯田主任、そしてビルトマテリアル(BMC)東京事務所の加藤が対談。野丁場板金のリアルな現場対応、職人育成、そして板金施工店とメーカーが目指すべきこれからのパートナーシップについて語り合いました。

(写真:鈴木社長)


目次

職人20名体制と重機内製化がもたらす「野丁場での機動力」

本日はお時間をいただきありがとうございます。創業55年、野丁場案件を中心に手掛けられている御社ですが、まずは鈴木社長と飯田主任のご経歴からお伺いできますでしょうか。

鈴木社長: 私は3代目になりますが、元々は内装工事の職人をしていました。知人の紹介でこの山武板金に入社したのが23歳の時です。最初は板金のイロハも分からず、周りの先輩方に助けられながら必死に揉まれて、気づけば30年近く経ちました。

飯田主任: 私は16歳でこの業界に入り、今年で27年目になります。山武板金でお世話になり始めたのは約4年前です。以前は別の板金店におり、外から山武板金の現場を見ていたのですが、とにかく段取りと手際が早くて仕事が途切れない。機材や自社車両も綺麗に揃っていて、「本当に格好いい施工店だな」とずっと憧れを持っていました。

常用で職人を20名抱え、自社でラフターまで運用されている体制は、今の業界内でも屈指の規模感だと思います。

鈴木社長: 自慢できるようなものではないのですが……野丁場の改修や難施工現場でお声がけをいただいた際、「できる限りお断りせず、どうにかして納める」という姿勢を続けてきた結果、今の体制になりました。お客様のご要望に応えようとすると、自前で設備を持たざるを得なかったという面もあります。

飯田主任: レッカー手配などの揚重作業を外部の揚重屋さんに頼り切るのではなく、自前のラフターや高所作業車、4tユニックで自社配車・荷揚げができるので、現場の急な変更や工程調整にも即座に動けます。ハゼ締めや立平施工はもちろん、窯業系やALC、金属サイディング、角波、サンドイッチパネル(ヴァンド)工事まで一通り自社で請け負えることが、弊社の足腰になっています。

野丁場現場での「作業スピードの早さ」にも定評がありますが、現場で意識されていることは何でしょうか。

鈴木社長: 単に手を早く動かしているわけではありません。大切なのは「現場に入る前の徹底した段取り」と「取り合いの先の先を読むこと」です。職人が現場で「次どうする?」と迷う時間をなくす。次の工程や他職種との取り合いをあらかじめ想像して手配しておくことで、無駄のない施工手順が生まれます。

(左:飯田主任、右:鈴木社長)


野丁場現場の壁を共に超える「BMCの対応力」

御社と弊社のお付き合いは、地域の非住宅板金店が集まる懇親の場がきっかけでしたね。

鈴木社長: ええ。そこで加藤さんたちとお話ししたのが始まりでしたね。社長を引き継ぐタイミングで仕入れ構造を見直し、BMCさんと直接取引をさせていただくようになりました。現在は店舗や倉庫、工場などの非住宅案件を中心に、多くの物件で材工や資材手配をご協力いただいています。

数ある建材メーカーや問屋がある中で、弊社をパートナーとして継続してご活用いただいている理由をお聞かせください。

鈴木社長: 一番は、BMCさんの「現場目線に立ったレスポンスの早さと対応力」です。野丁場の現場、特に改修工事では、既存屋根を剥がしてみて初めて分かる下地の傷みや納まりの変更など、予期せぬトラブルが日常茶飯事です。その時に、迅速に相談に乗ってくれて、現場を止めることなく動いてくれる体制にいつも助けられています。

飯田主任: メーカーさんによっては「仕様書通りの部材しか出せません」で終わってしまうこともありますが、BMCさんは「この収まりならどう部材を出すか」「納期をどう詰めるか」を一緒になって考えてくれます。現場を預かる職人側としては、この安心感が非常に大きいです。


「製品に文句は言わない」――野丁場職人が持つ技術的プライド

実際の現場では弊社の「デコルーフ(嵌合式立平)」や「ハゼII(折板)」などをご採用いただいておりますが、現場の職人さん方の使い勝手や評価はいかがでしょうか?

鈴木社長: 納まりも良く、製品精度も問題ありません。「悪くないね、使いやすいよ」と現場からも聞いています。

板金の社長様や職人様からいただく「悪くない」という言葉には、深い意味があると感じております。

鈴木社長: そう言っていただけると恐縮です(笑)。私たちのような野丁場の施工店は、社長も専務も飯田も、全員が現場叩き上げの職人です。千葉で長く板金をやってきたという意地もありますから、「施工性が悪い」「精度が悪い」と材料のせいにして弱音を吐くのは、職人として少し恥ずかしいという感覚があります。

飯田主任: 多少の取り合いの厳しさや現場の不陸があっても、現場で掴み(ツカミ)を入れたり、役物を現場加工して綺麗にピタッと納めてこそ職人だ、と教わって育ちました。だからこそ製品のせいにはしたくない。その上で、BMCさんの商品は勘合の納まりも素直で見た目もすっきり仕上がるので、安心して現場に施工できます。

まさに「腕で納める」職人魂を感じます。お二人が現場で一番「やりがい」を感じる瞬間はどこでしょうか。

鈴木社長: 既存躯体の歪みや複雑な納まりなど、「答えのない現場の課題」に対して自ら知恵を絞り、納め方を組み立てて綺麗に仕上がった時ですね。

飯田主任: 他社様が「この納期や納まりじゃ無理だ」と躊躇するような現場を、チーム一丸となって無事に引き渡せた時の達成感です。そして引き渡し後に、元請けの所長さんやお施主様から「山武さんに頼んで良かった、ありがとう」と言っていただける瞬間が、何よりの活力になります。


現場の課題を埋める製品開発と、これからの業界へ

ありがとうございます。最後に、山武板金様が今後目指される方向性や、メーカーであるBMCへのご要望、そして業界の未来についてお聞かせください。

鈴木社長: BMCさんには、これからも「野丁場現場の痒い所に手が届く製品開発」を期待しています。例えば、需要が増えている工場・倉庫のスレート改修工事に向けた「小波」屋根材のラインナップ拡充です。また、都心部の狭小現場では長尺成形板の搬入や揚重が困難なため、2tロングトラックに積載して現地で成形できる「小型現場成形機(移動式成形機)」の展開も非常に楽しみにしています。

飯田主任: 実務面での具体的な要望としては、都内の狭小現場などで用いられる「嵌合立平」や「折板(ハゼII)」などの屋根ジョイント工法における専用部材化です。現在はハゼ部に600mmほど重ね代(かぶせ)をとり、コーキング打設やエポタフミラー等の防水塗料を塗布して職人の手技で対応していますが、やはり長年の経年変化による雨漏りリスクはゼロではありません。ここを安全・確実に処理できる専用ジョイント部材や標準工法がメーカー側で開発されれば、施工店としては施工品質の平準化に大きく繋がります。

非常に具体的かつ、現場を熟知された施工店様ならではのご提言をありがとうございます! ジョイント部材や小型現場成形機については、すぐに弊社の開発チームへフィードバックし、製品化に向けた取り組みを進めてまいります。最後に、次世代を担う若い職人たちへのメッセージをお願いします。

鈴木社長: 現在、板金業界全体で若手・中堅職人の不足が深刻化しています。建築板金は専門学校などの教育環境が少ないからこそ、私たちが現場で背中を見せ、手取り足取り技術と判断力を引き継いでいかなければなりません。

同時に、若い人たちが「板金職人になって良かった」と胸を張れるよう、他業種に負けない給与水準や、しっかりと休日を確保できる労働環境(週休2日化など)を整えることが経営者としての務めだと思っています。生面目に向き合えば、これほど自分の作ったものが形として残り、感謝される素晴らしい仕事はありません。若い世代が安心して飛び込める業界にするため、私自身も現場と経営の両面で挑戦を続けていきます。

野丁場現場を長年支えてこられたお二人の実直な誇りと、業界の未来を見据えた温かいお言葉に深く感謝いたします。山武板金様のような確かな技術を持つ施工店様がより力を発揮できるよう、ビルトマテリアルも製品と対応力を磨き続け、全力でサポートしてまいります。本日は誠にありがとうございました。

(左:鈴木社長、右:飯田主任)


編集後記

「材料のせいにして『施工しにくい』と言うのは、職人として恥ずかしい」。
今回のインタビュー中、鈴木社長と飯田主任がふと漏らされたこの言葉に、野丁場の厳しい現場を数多く潜り抜けてきた職人としての静かな誇りと誠実さが凝縮されていました。
自社で20名の常用職人を擁し、重機まで内製化して現場を完工させる高い技術を持ちながらも、決して奢ることなく、お客様からの信頼に愚直に応え続ける山武板金工業様。
ビルトマテリアルは、このような志高い施工店様からの現場の声を製品開発やサービス改善に直結させ、単なる資材供給にとどまらない「現場の課題を共に解決するパートナー」として、これからも建築板金業界の発展に貢献してまいります。

(取材・構成:ビルトマテリアル株式会社 成長戦略室)

施工例写真

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