

お客様の声
| ゲスト | 有限会社 西村板金 代表取締役 西村 寿和 氏 Web:https://n-ban.com/ 住所:群馬県太田市世良田町962-1 |
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| 聞き手 | ビルトマテリアル株式会社 群馬営業所 金澤 龍一 |

群馬県太田市に拠点を置く有限会社西村板金。その代表、西村寿和氏の名は、建築板金業界においてある種の「伝説」と共に語られる。1級建築板金技能士検定において、群馬県トップ通過、そして「98点」という過去最高得点を記録した、正真正銘の名工だ。
しかし、西村氏の真の凄みは、その卓越した「個の技術」を、誰もが再現可能な「組織の知」へと昇華させ、他社が敬遠する難易度の高い大型物件(野丁場)から、一分の隙も許されない高級住宅(町場)までを、完璧なロジックで攻略している点にある。
「良い腕には、良い材料を」。
名工の眼理に適った建材、ビルトマテリアル(BMC)の「GMルーフ」が、なぜ西村板金の「雨漏れゼロ」という絶対的な信頼を支えているのか。その舞台裏には、板金職人なら誰もが膝を打つ「雨仕舞いの真理」があった。

西村社長、本日はお忙しい中ありがとうございます。まず、業界内で語り草となっている「技能検定98点」という実績について伺わせてください。100点満点に近いその精密な技術は、どのようにして磨かれたのでしょうか。
私は16歳でこの世界に入りました。当時はまだ「技は見て盗め」という時代でしたが、私の転機となったのは、入社後2年間、夜間の板金訓練校に通ったことです。そこで叩き込まれたのは、現場の勘ではなく、線一本の狂いも許さない「製図」の基礎でした。
「製図」がすべての土台だと。
その通りです。展開図を描き、鋼板を切り出し、折る。98点という結果は、特別なことをしたわけではなく、教わった方程式を寸分違わず再現する「凡事徹底」を貫いた結果に過ぎません。しかし、この時に体に染み込ませた「理詰めで納める技術」があったからこそ、後に経験する野丁場の複雑な現場や、原因究明が難しい雨漏り診断の現場でも、自信を持って論理的な施工に挑むことができました。
「理詰め」だからこそ、どんな現場でも応用が利くのですね。
今でも、難しい納まりに直面したときは頭の中で展開図を描きます。それが描ければ、必ず形になる。板金職人の仕事は、最後は「数学」なんですよ。


西村板金様は、戸建て住宅だけでなく、大規模な工場や倉庫といった「野丁場」でも圧倒的な信頼を得ています。ここまでの体制を築かれた経緯を教えてください。
以前はある「難工事」との出会いが大きな転機となりました。他社が途中で断念してしまった、特殊な形状と高度な雨仕舞いが求められる大型物件です。非常にリスクの高い現場でしたが、私の製図の知識と、中途で入社した優秀なスタッフの力が噛み合い、見事に完納することができました。
他社が諦めた現場をやり切る。それが最大の営業活動になりますね。
そうなんです。それを機に、「西村板金なら何とかしてくれる」という評価が定着しました。現在は、私と専務(息子)を中心とした「家族経営の柔軟性」に、野丁場専門の職人や鳶の技能を持つスペシャリストを組み合わせた「ハイブリッド・チーム」で動いています。この体制により、町場の繊細な仕事から野丁場のダイナミックな仕事まで、一貫した「西村品質」で提供できる。これが私たちの最大の強みです。

技術に一切の妥協がない西村社長が、弊社の「GMルーフ」を長年ご採用いただいている理由を、ぜひ職人の視点からお聞かせください。
BMCさんの製品は、板金屋の仕事を本当によく分かっている。特に「GMルーフ」を使い続けている決定的な理由は、その「水逃がし」の構造にあります。
先ほど現場スタッフからも「侵入した水をいかに逃がすか」という視点が重要だというフィードバックをいただきました。
屋根材において、雨水の浸入を100%遮断しようとするのは、実は危険な考え方なんです。台風や記録的な豪雨、あるいは経年変化を考えれば、水は「入るもの」として想定すべき。大事なのは、「浸入した水を、いかに滞留させず、速やかに安全なルートで外へ排出するか」。ここが雨仕舞いの真髄です。
GMルーフの接合部にある、あの「返し」の形状ですね。
そうです。あの絶妙な「返し」が、物理的に水の浸入を抑制するだけでなく、万が一入ってしまった水を速やかに下へと逃がす道(パス)を作っている。毛細管現象で水が吸い上げられるのを防ぎつつ、重力を利用して排出する。この排出ロジックこそが、我々板金職人がお客様に「この屋根なら絶対に雨漏りしません」と胸を張って言える根拠なんです。
カタログ上のスペックだけでなく、その「理屈」に共感いただいている。
正直、この構造的優位性はもっとプロ向けにアピールすべきですよ(笑)。「水を防ぐ」という言葉は誰でも言えますが、「水を逃がすから安心だ」と言える建材はそう多くない。
施工性についてはいかがでしょうか?
モデルチェンジを経て「差し込み」の部分が劇的に改良されましたよね。施工ストレスが激減したことで、現場のスピードが上がった。早いということは、単に楽をするということではなく、お施主様や元請け様を待たせないという「誠実さ」に繋がります。製品という「ハード」と、我々の解説力という「ソフト」が噛み合ってこそ、真の価値が生まれるんです。

GMルーフのかんごう部
西村板金様の現場では、若い職人さんたちが非常に自律的に動いているのが印象的です。名工の技術をどう継承されているのでしょうか。
今の時代、昔のような「背中を見て盗め」は通用しません。それでは技術の「本質」が伝わらない。私の教育理念は、顧客対応と同様に「常に若い人に寄り添うこと」です。
具体的にはどのような指導を?
私はあえて「答え」をすぐには教えません。代わりに、答えを導き出すための「方程式(解き方)」を教えます。例えば、複雑な角の納まりをどう作るか。まず本人に考えさせ、実際に手を動かさせる。その上で、私と一緒に「答え合わせ」をするんです。
「答え合わせ」……非常に論理的ですね。
自分で導き出した答えが正解だった時の喜びは、成長の大きな糧になります。逆に間違っていたとしても、その答えを導き出したロジックを一緒に検証すれば、二度と同じミスはしません。すべてを教え込むのではなく、答えを探させる。この寄り添い型の教育こそが、どんな現場でも自走できる「本物の職人」を育てる近道だと確信しています。

最後に、西村板金様の今後のビジョンをお聞かせください。
今後も地域に根ざした建築板金のプロとして、新しい材料や技術を積極的に取り入れていきたい。BMCさんには、2026年4月に発売予定の新材料「ユナイト」に非常に期待しています。塗膜強度が上がり、現場での傷にさらに強くなると聞いています。
現場の声を反映させ、施工時の安心感を高めた自信作です。
「良い腕には、良い材料を」。最高の結果を出すためには、我々の技術と、皆さんの製品開発力が車の両輪となって走る必要があります。これからも現場の職人が「これなら理屈で勝てる」と唸る製品を、共に創り上げていきましょう。
「98点」という数字は、決して過去の栄光ではなく、今もなお西村板金のすべての現場に流れる「基準値」であった。西村社長が説く「教育の方程式」は、技術を単なる個人の勘に頼るのではなく、誰もが再現可能な「知」へと昇華させる試みだ。
そして、その高い技術力が選んだのが、GMルーフの「水逃がし構造」というディテールであった。 「早く終わる施工には、語るべき理由(ロジック)がある」。製品スペックを超えた「現場の真実」を言葉にし、顧客に届ける西村社長の姿は、これからの板金経営が目指すべき一つの完成形を提示してくれた。
(取材・構成:ビルトマテリアル株式会社 成長戦略室)
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